妊娠中は口腔内のトラブルが起こりやすくなります
妊娠中は、ホルモンバランスの変化やつわりによる口腔ケア不足、食生活の変化などにより、むし歯や歯周病、口臭、歯ぐきの腫れなどが起こりやすくなります。
とくに妊娠性歯周炎は、早産や低体重児出産のリスク因子とも関連があるため、専門的な口腔ケアが重要です。
妊娠中に増加する主な歯科トラブル
- 妊娠性歯周炎:歯ぐきの腫れ・出血・炎症
- 妊娠性エプーリス:歯ぐきのこぶ状の腫れ(良性)
- つわりによる磨き残し:前歯や奥歯の磨き不足
- 胃酸逆流による酸蝕症:嘔吐を繰り返す場合の注意
- 間食・甘味摂取の増加によるむし歯リスク
妊娠と歯周病の関係 ~ 科学的エビデンス
妊婦さんが重度の歯周病を患っている場合、早産・低体重児出産のリスクが約2〜7倍に増加することが報告されています。
出典:Offenbacher et al., J Periodontol. 1996 / 米国産婦人科学会(ACOG)ガイドライン
歯ぐきの炎症を放置せず、妊娠中もプロによる定期ケアを受けることが、赤ちゃんの健康を守ることにもつながります。
妊娠中の歯科通院はいつがベスト?
妊娠の時期 | 口腔ケアのポイント | 治療の可否 |
---|---|---|
妊娠初期(〜15週) | つわりに配慮しながら、必要なら応急処置 | 応急処置中心(急性症状のみ) |
妊娠中期(16〜27週) | 比較的安定期。検診・治療に最適 | 基本的な処置・クリーニング可 |
妊娠後期(28週〜) | 体調により負担配慮。予防中心に | 原則応急処置のみ。出産後に本格治療 |
当院では母子手帳に基づく妊婦歯科健診や、産科医との連携のもと、妊娠週数に合わせた無理のないケアをご提案します。
当院の妊娠中のケア体制
- 妊婦歯科検診(母子手帳記載)に対応
- チェアの角度・診療時間配慮
- レントゲン・薬剤使用は必要最小限&安全確認済
- 妊娠中・授乳中も使える安全なフッ素塗布・クリーニング
- 口腔内写真・記録で出産後のケア計画もサポート
よくあるご質問
Q. 妊娠中にレントゲンを撮っても大丈夫ですか?
A. 歯科用レントゲンは放射線量が非常に少なく、鉛エプロンで腹部を防護すれば問題ありません。必要時のみ最小限で実施します。
Q. 妊娠中に麻酔をしても赤ちゃんに影響はありませんか?
A. 歯科で使用する局所麻酔は胎児に影響のない安全な薬剤を使用しています。量もごく微量で心配ありません。
Q. つわりで歯みがきができません…どうしたらいいですか?
A. 歯ブラシのヘッドを小さくしたり、香りの強くない歯みがき剤を使うことで改善することがあります。うがいだけでも継続を心がけてください。
「歯の健康=赤ちゃんの健康」妊娠中こそ定期ケアを
妊娠中の口腔トラブルは、お母さんだけでなく赤ちゃんの健康にも関わる重要なテーマです。
予防と早期対応で、治療の負担を最小限に抑えることができます。
当院では、妊婦さんに寄り添った診療体制を整えております。出産まで、そしてその先も、健やかな口腔環境をサポートいたします。