小児歯科の役割とは?
小児歯科は、乳児から思春期(おおよそ中学生)までの子どもを対象とする歯科医療の専門分野です。
子どもの歯科治療は、大人と同じように見えて、実は大きく異なる側面を持っています。
単に「小さなむし歯を治す」だけでなく、歯の生え変わり・顎や顔面の成長・口腔習癖・生活習慣までを含めてトータルに管理することが求められます。
小児歯科の真の目的は、「いかに治すか」ではなく、「どうすれば治療せずに済むか」。
そのために、定期的なメンテナンス、予防処置、保護者へのアドバイス、そして子ども自身の口腔への興味・関心を育むことが、小児歯科の重要な役割です。
対象年齢と診療範囲
小児歯科の対象となるのは、乳歯が生え始める0歳から、永久歯列が完成する中学生ごろまでです。
発育段階に応じて、以下のような診療を行います。
年齢 | 診療の主な内容 |
---|---|
0〜2歳 | 乳歯の萌出確認、授乳・離乳食アドバイス、仕上げ磨き指導、口腔習癖の確認 |
3〜5歳 | むし歯予防処置(フッ素塗布・シーラント)、生活習慣の確立、歯みがきトレーニング |
6〜12歳 | 生え変わりの管理、6歳臼歯のむし歯予防、咬合誘導、小児矯正の相談 |
成長するにつれてお口の中は大きく変化します。その変化を見逃さず、年齢・発育に合わせた個別対応ができるのが、小児歯科の大きな特長です。
小児歯科と一般歯科の違い
一般歯科では主に成人を対象とした治療や補綴が中心となりますが、小児歯科では「育てる」「守る」「導く」ことが治療の中心になります。
特に、以下のような点で違いがあります。
- 治療より予防が重視される
- 心理的配慮(信頼関係の構築)を重視
- 乳歯と永久歯の両方を考慮した診断・治療
- 口腔習癖(指しゃぶり、舌突出癖など)への対応
- 歯並び・顎の発育を見据えた矯正的な視点
小児歯科は単なる「子どものためのむし歯治療」ではなく、将来の健康な永久歯列と全身の健やかな成長を支えるための包括的医療です。
子どもとの信頼関係を大切に
歯科医院に対して「怖い」「痛い」というイメージを持っているお子さんは少なくありません。
当院では、小児歯科診療において「信頼関係の構築」を最も大切にしています。
初めての診療では、すぐに治療に入ることはせず、お話をしたり、診療器具を見せたり、診察室の雰囲気に慣れてもらうことから始めます。
トレーニングを重ねながら、少しずつステップアップしていくことで、子ども自身が「できた!」という成功体験を得られるようサポートします。
また、保護者の方にも治療内容や今後の見通しをしっかりとご説明し、家庭でのケア・フォローの方法も丁寧に共有しています。
むし歯ゼロを目指す予防中心の診療
小児歯科で最も重要なのは、予防の継続です。
むし歯や歯肉炎になってから治療するのではなく、「ならないために通う」ことが、お子さまの口腔健康にとって最大のメリットになります。
- フッ素塗布(3〜4ヶ月に1回)
- シーラント処置(奥歯の溝の封鎖)
- 生活習慣(間食・歯みがき)の見直し
- 歯みがき指導と仕上げ磨きチェック
- 発育の評価と咬合・歯並びの管理
定期的に通院することで、トラブルの早期発見・早期対応が可能になり、将来的な矯正や複雑な治療を減らすことにもつながります。
小児歯科を受診する最適なタイミング
歯が1本でも生え始めたら、すでに口腔ケアのスタート地点です。
日本小児歯科学会では「1歳児歯科健診」の受診を推奨しており、早い段階からの関わりが重要だとされています。
とくに以下のようなタイミングでは、小児歯科の受診をおすすめします。
- 歯が生えてきた(生後6〜10ヶ月)
- むし歯がないか心配
- 歯みがきを嫌がる・仕上げ磨きが難しい
- 歯並びが気になる
- 指しゃぶりや舌の癖がある
歯科医院に通うことを「当たり前の習慣」にすることが、お子さまの未来の口腔健康を守る最初の一歩です。
未来を見据えた小児歯科で、お子さまの健康な成長を支えます
小児歯科は、単なる「治療の場」ではなく、お子さまの将来の健康を左右する重要なステージです。
乳歯を守ることは、永久歯の健全な萌出や噛み合わせの形成、さらには栄養・発音・表情の形成にもつながります。
当院では、「親子で一緒に健康を育む歯科医療」をテーマに、お子さまの年齢や性格に応じた丁寧な診療を心がけています。
お子さまの笑顔と、健康な歯を守るために、私たちが全力でサポートいたします。