ドライマウスとは?

ドライマウスの主な症状

ドライマウス(口腔乾燥症)は、唾液の分泌が減少し、口の中が乾燥して不快感が生じる症状です。
以下のような症状を訴える方が多く見られます。

  • 口がネバネバする、乾いて話しづらい
  • 舌がひりひりと痛む
  • 口臭が気になる
  • パンやせんべいなどが食べにくい
  • 夜間に水を何度も飲む

放置すると起こる合併症

唾液には自浄作用・抗菌作用・再石灰化作用など重要な機能があるため、唾液が不足すると以下のような問題が発生しやすくなります。

  • 虫歯や歯周病の進行
  • 舌や頬粘膜のひび割れ、潰瘍
  • 味覚障害・口内炎の頻発
  • 誤嚥性肺炎のリスク増大

舌痛症(ぜっつうしょう)とは?

「痛いのに異常がない」不思議な疾患

舌痛症は、見た目には異常がないにもかかわらず、舌の先や側面がヒリヒリと痛むという慢性的な疾患です。
医学的には「心因性・神経因性疼痛」に分類されることが多く、以下のような特徴があります。

  • 一日中ヒリヒリ・ピリピリする
  • 朝よりも午後や夕方のほうが強くなる
  • 食事中は痛みが軽減することもある
  • ストレスや疲れで悪化しやすい

舌痛症とドライマウスの合併が多い理由

舌痛症の患者の多くに、同時にドライマウスが認められることが分かっています。
これは、唾液の減少が粘膜の防御機能を低下させ、神経の過敏化を招くためと考えられています。

原因の多くは「唾液量の減少」と「神経の誤作動」

加齢・薬の副作用・ストレス・自律神経の影響

ドライマウスや舌痛症の原因は多岐にわたりますが、以下のような要因が複合的に関与していることがほとんどです。

  • 加齢による唾液腺の機能低下
  • 降圧剤・抗うつ薬・抗不安薬などの副作用
  • ストレス・睡眠障害・心因性要因
  • ホルモンバランスの変化(更年期など)
  • うつ病や不安障害の併存

関連疾患(シェーグレン症候群など)

自己免疫疾患の一つであるシェーグレン症候群は、唾液腺や涙腺を中心とする外分泌腺が破壊される疾患で、重度のドライマウスを引き起こします。
女性に多く、関節リウマチや甲状腺疾患と合併することがあります。

当院で行う検査・診断

唾液量の測定(ガムテスト・Saxonテスト)

ドライマウスの診断には、一定時間のガム咀嚼による唾液量測定(ガムテスト)や、ガーゼを口に含んで測定するSaxonテストなどを行います。
安静時唾液量が1分間に0.1ml以下であれば、明確な唾液分泌障害とされます。

視診・問診・血液検査・連携医療

舌痛症は画像検査や血液検査では異常が見つからないことが多いため、詳細な問診・視診・触診が重要です。
必要に応じて、膠原病科・内科・精神科などの連携診療をご案内いたします。

ドライマウス・舌痛症の治療法

保湿療法・唾液分泌促進

軽度のドライマウスに対しては、口腔保湿ジェルやスプレー、唾液分泌を促す無糖ガムやタブレットなどを用いた治療が有効です。
また、唾液腺マッサージや水分摂取の習慣化も推奨されます。

心理的要因へのアプローチ

舌痛症には心理的要因(不安・抑うつ・自律神経の乱れ)が関与しているケースが多いため、認知行動療法・抗不安薬・抗うつ薬の処方が検討されることもあります。
精神科・心療内科との連携によって、身体的治療と心のケアを両立します。

口腔リハビリ・舌トレーニング・薬物療法

舌の動きや緊張に対しては、舌のストレッチ・マッサージ・発声練習などの口腔リハビリが有効です。
また、漢方薬(白虎加人参湯・半夏厚朴湯など)や神経調整薬(リリカ、サインバルタなど)も併用することで、症状緩和が期待されます。

よくあるご質問(FAQ)

Q. ドライマウスは治りますか?
A. 原因が薬剤やストレスによるものであれば、生活習慣の見直しや保湿療法で改善するケースもあります。
ただし、進行性疾患(シェーグレン症候群など)の場合は完治が難しく、症状緩和が主目的になります。
Q. 舌痛症はがんではないのですか?
A. 舌痛症は見た目に異常がないのに痛みがある神経性の疾患です。
見た目に異常がある、出血や腫れがある場合は別の疾患(がん含む)を疑い、精密検査が必要です。
Q. 何科に相談すればよいかわからないのですが…
A. 口腔乾燥や舌の異常は、まず歯科または歯科口腔外科が最適です。
必要に応じて内科・膠原病科・精神科への紹介も可能ですので、まずはお気軽にご相談ください

症状があれば我慢せず、専門的な診断を

ドライマウスや舌痛症は、検査で明確な異常が出にくいため、「気のせい」「歳のせい」と見過ごされがちな症状です。
しかし、生活の質を大きく損なう慢性的な不快症状であり、早めの診断と適切なケアがとても重要です。

当院では、専門的な知識と検査体制、必要に応じた他科との連携により、症状の根本改善を目指した治療を行っております。
「どこに相談すればよいかわからない」「病院をたらい回しにされた」そんなお悩みに、私たちが正面からお応えします。

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