予防歯科の本質とは?

予防歯科とは、むし歯や歯周病などを未然に防ぎ、健康な口腔環境を長く保つことを目的とした歯科医療です。
「痛くなってから行く歯医者」ではなく、「悪くならないように通う歯科医院」という意識が今、世界的に広がっています。

当院では、疾患の早期発見・進行抑制・再発防止までを担う「予防医療」として、科学的根拠に基づいた予防歯科を実践しています。

一次予防〜三次予防とは?

分類 定義 具体的な内容
一次予防 発症の予防 正しいブラッシング、食習慣改善、フッ素塗布、シーラント
二次予防 早期発見・早期治療 定期検診、PMTC、歯周ポケット検査、初期う蝕の観察・管理
三次予防 再発防止・機能維持 補綴物のメンテナンス、再感染防止、インプラント周囲炎管理

日本の「予防歯科」はまだ遅れている?

日本では保険制度上、治療行為に対して点数がつく仕組みであるため、予防に特化した通院習慣が欧米に比べて根付きにくいという現状があります。

【図】スウェーデンと日本の比較(定期管理の受診率)

 

しかし近年では、日本国内でも定期管理型の歯科医院の重要性が広く認識され始めており、予防に通う=常識という未来が、少しずつ現実になってきています。

データで見る予防歯科の重要性 ~ 80歳で20本の歯を残すには

日本では1989年から厚生労働省・日本歯科医師会によって「8020運動」が推進されています。これは、80歳で自分の歯を20本以上保とうという運動であり、自然な食事・会話・生活の質(QOL)を維持するうえで大きな意味を持ちます。

実際に定期的に歯科に通っていた人の方が、80歳時点での残存歯数が平均で7〜10本多いというデータもあります。
つまり、「予防の習慣」が生涯の歯の健康を決めるといっても過言ではありません。

定期検診はどれくらいの頻度が理想?

日本歯周病学会や欧米の研究では、定期検診は3〜4ヶ月に1回が最も理想的とされています。
なぜなら、歯周病菌がクリーニング後に再び悪化するのが3ヶ月を過ぎた頃であることが、複数の研究で明らかになっているからです。

Biofilm再形成と歯周病の進行速度

  • 歯肉炎は約3週間で発生
  • 歯周ポケットの深さ悪化は、3ヶ月を超えると有意に増加

引用元:Löe H, Theilade E, Jensen SB. Experimental gingivitis in man. J Periodontol. 1965.

そのため当院では、リスク評価に応じて「3〜6ヶ月ごとの定期検診」をおすすめしています。

予防歯科で得られる5つのメリット

  1. むし歯・歯周病を未然に防げる
  2. 治療回数・治療費の負担が少なくなる
  3. 歯を削る・神経を取ることが減る
  4. 口臭や汚れを常に清潔に保てる
  5. 全身の健康維持につながる(糖尿病・心疾患リスクの軽減など)

アクセルソン博士による40年追跡研究 ~ 予防がもたらす圧倒的成果

世界的な予防歯科研究で知られるスウェーデンのアクセルソン博士(Dr. Jan Axelsson)は、定期管理を行った患者群と行わなかった群の40年間の追跡研究により、以下のような結果を報告しました。

項目 定期管理群 非管理群
40年後の残存歯数 25本以上 平均7〜8本
むし歯の発生 ほとんどなし 再発多数
歯周病の進行 極めて軽度 重度進行・抜歯多数

この研究は、予防歯科が“治療歯科”よりも圧倒的に歯を守ることができることを科学的に証明した世界的なエビデンスとして知られています。

当院の予防歯科の特徴

  • 歯科衛生士による担当制の定期メンテナンス
  • PMTC(専門的クリーニング)を定期実施
  • 唾液検査・リスク評価に基づく個別予防プログラム
  • デジタル記録による経過管理・可視化
  • 食生活・生活習慣の指導も含めた包括的ケア

よくあるご質問

Q. むし歯がないのに歯医者に行く必要がありますか?
A. はい。症状がなくても、定期検診によって早期発見や予防が可能です。健康な状態を維持するためにこそ、定期通院は重要です。
Q. どれくらいの間隔で通えばいいですか?
A. 通常は3〜4ヶ月に1回の来院をおすすめしています。患者様のリスクや生活習慣に応じてご案内します。
Q. 予防の通院も保険適用されますか?
A. 検査結果に基づいた歯周病管理や保険適用のクリーニング(スケーリング)は保険内で可能です。PMTCや検査類は自費となる場合があります。

歯を守ることは、人生を守ること

むし歯や歯周病の予防は、「悪くなってから」ではなく「悪くなる前に」行う時代です。
当院では、患者様一人ひとりに合わせた、科学的・個別的な予防歯科を実践しています。

「歯医者=痛い治療の場所」ではなく、「健康を守るための通院先」として、ぜひ予防歯科の通院を始めてみませんか?

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