「治療の選択肢」は患者さまの権利です
歯科治療を受ける際、「保険でできますか?」「自由診療の方が良いですか?」という疑問をお持ちの方は多くいらっしゃいます。日本の医療制度では、保険診療(健康保険で費用の一部が補助される治療)と、自由診療(すべて自己負担で行う高度な治療)が共存しており、歯科では特にこの選択が重要になります。
本ページでは、保険診療と自由診療の仕組み・対象範囲・違い・それぞれのメリット・デメリットを明確に比較し、患者さまご自身が納得して治療を選択できる情報をご提供いたします。
保険診療とは?
国が定めた診療報酬制度に基づき、費用の一部(通常3割)が自己負担となる医療制度です。使用できる薬剤・材料・治療内容があらかじめ定められており、「必要最低限の機能回復」を目的としたものです。全ての人が同じ条件で治療を受けることができる素晴らしい制度です。ただし、使用できる歯科材料や治療方法には厳格なルールがあります。
例)虫歯治療、歯周病治療、入れ歯(レジン床)、ブリッジ(パラジウム合金)、前歯のプラスチック修復など。
自由診療とは?
国の制限を受けず、歯科医師が最善と考える技術・材料・設備を使って行う治療です。保険の範囲を超えて、より高い審美性・機能性・耐久性・快適性を求める方に適しています。
例)セラミック治療、インプラント、マウスピース矯正、ノンクラスプデンチャー、精密根管治療、ジルコニアブリッジなど。
保険診療と自由診療の違い(比較表)
項目 | 保険診療 | 自由診療 |
---|---|---|
費用 | 一部負担(3割など) | 全額自己負担 |
使用材料 | 国の基準に従う(レジン、銀合金など) | セラミック、ジルコニア、チタンなど選択肢豊富 |
審美性 | 限定的(前歯プラスチックのみ) | 天然歯のような自然な美しさ |
耐久性 | 5年未満のことも | 10年以上持つこともある |
治療の自由度 | 制限あり | 制限なし・最新技術を導入可能 |
精密性 | 一般的なレベル | マイクロスコープ・CT等で高精度 |
治療ごとの保険と自由診療の具体的な違い
むし歯治療
- 保険:銀歯・レジン充填
- 自費:セラミックインレー・ダイレクトボンディング(審美・耐久性に優れる)
詰め物・被せ物
- 保険:金銀パラジウム合金、硬質レジン前装冠
- 自費:ジルコニアクラウン、e.max、フルジルコニア、ラミネートベニアなど
根管治療
- 保険:手指による治療、肉眼レベル
- 自費:マイクロスコープ・ニッケルチタンファイル・MTA使用の精密根管治療
矯正治療
- 保険:原則対象外(顎変形症などは一部適用)
- 自費:ワイヤー矯正、マウスピース矯正(インビザライン)
入れ歯
- 保険:レジン床義歯、バネが目立つ
- 自費:金属床義歯、ノンクラスプデンチャー、シリコン義歯など
インプラント
- 保険:対象外
- 自費:失った歯の機能を天然歯のように回復
自由診療のメリットとデメリット
メリット
- 審美性:自然な見た目で笑顔に自信
- 精度:精密な技術・機器を用いた治療が可能
- 耐久性:長期間安定するケースが多い
- 快適性:装着感・使用感に優れる
- 治療法選択の自由:患者様に最も合うものを選べる
デメリット
- 費用が高額になる
- 保険外のため医療費控除に制限あり(条件付き)
- 一部治療はメンテナンスも自費対応
保険診療のメリットと限界
保険診療の最大のメリットは「低価格で誰もが同じ治療を受けられる」ことです。しかし、以下のような機能面・審美面・素材面の限界も存在します。
- 銀歯による金属アレルギーや審美性の問題
- 使用素材の劣化や摩耗
- 根管治療の成功率が低くなりやすい
- 時間や工程が制限され、技術の発揮が難しい場合がある
当院の考え方 ~ 「保険で最良を、自費で最善を」
当院では、保険診療でもできる限りの精密な処置・説明を徹底しながらも、ご希望の方には自由診療の選択肢を丁寧にご案内しています。
「保険内で可能な限りきちんと治したい」「見た目や快適性も大切にしたい」——患者様のご希望とライフスタイルを伺いながら、納得できる治療計画をご提案します。
よくあるご質問(FAQ)
治療の質と価値を正しく理解して選ぶために
歯科治療における保険診療と自由診療の違いは、単なる費用の問題ではなく、「どこまでを求めるか」の選択でもあります。
当院では、それぞれの特徴を丁寧にご説明し、患者様ご自身が安心して判断できる環境を大切にしています。
「まずは保険で相談したい」「自由診療の内容も詳しく知りたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。