＊静脈内鎮静法

静脈内鎮静法

静脈内鎮静法とは

「静脈内鎮静法（じょうみゃくないちんせいほう）」は、点滴によって鎮静薬を体内に投与し、まるで“うたた寝をしているような状態”で治療を受けられる方法です。意識はありながらも不安や緊張が大きく和らぎ、時間の感覚もぼんやりとするため、治療中の記憶がほとんど残らないことも多く、「気づいたら終わっていた」と感じる方も少なくありません。歯科恐怖症や嘔吐反射のある方、長時間の外科処置を予定している方にも、安心して受けていただける選択肢です。

静脈内鎮静法はこのような方に適しています

静脈内鎮静法の概要

静脈内鎮静法とは、点滴を通じて鎮静薬を静脈内に投与し、意識は保ちながらもリラックスした状態で歯科治療を受けられる方法です。全身麻酔とは異なり、完全に眠るわけではなく、周囲の声かけに反応できる程度の浅い鎮静状態が保たれます。治療中の痛みや不快感はほとんど感じず、緊張や恐怖心も大きく緩和されるため、「いつの間にか終わっていた」と感じる方も多いのが特徴です。
当院では、心拍数・血圧・酸素飽和度などを常時モニタリングし、安全に配慮しながら治療を行っています。静脈内鎮静法は、歯科恐怖症の方をはじめ、外科処置や長時間の治療を予定されている方、嘔吐反射が強い方などに適した方法です。治療後はしばらく院内で安静にしていただき、体調が落ち着いたのを確認してからお帰りいただきます。安全性と快適性を両立した選択肢として、多くの患者様に支持されています。

静脈内鎮静法の流れ

1. 事前カウンセリング・診察

まず、現在の健康状態や既往歴、服薬状況などを詳しくお伺いします。必要に応じて血圧測定や検査を行い、静脈内鎮静法の適応があるかを判断します。不安な点があれば、この時点で何でもご相談ください。

2. 点滴の準備とモニタリング

治療当日、専用のリカバリールームまたは診療室で点滴を開始し、鎮静薬をゆっくりと静脈に投与します。同時に、心拍数・血圧・酸素飽和度などをモニターで管理し、安全な状態を確認しながら進めます。

3. 治療の開始

薬が効いてくると、うとうとしたリラックス状態に入ります。意識はあるものの不安感や恐怖心は和らぎ、処置中の記憶が曖昧になることがほとんどです。この状態で、治療をスムーズかつ安全に行います。

4. 治療終了後の安静・回復

治療終了後は、別室または診療台でしばらく安静にしていただきます。薬の効果が切れてきたことを確認した後、歩行や会話に支障がないことを確かめてからお帰りいただきます。

※当日は自動車・自転車の運転はできませんので、公共交通機関または付き添いの方の同行をおすすめしています。

静脈内鎮静法の注意点

静脈内鎮静法は、安全性の高い鎮静処置ですが、いくつかの注意点を理解したうえで受けていただくことが大切です。

当日の運転はできません

鎮静薬の影響は治療後もしばらく続くため、治療当日は車・バイク・自転車の運転は禁止です。ふらつきや判断力の低下が起こる可能性があるため、公共交通機関のご利用、またはご家族の送迎をお願いします。

治療前の飲食制限があります

鎮静薬の安全な効果を得るために、治療の数時間前から絶食・絶飲が必要となります（通常は4〜6時間前から）。詳しい指示は事前にお伝えいたしますので、必ずお守りください。

服用中のお薬は申告を

現在服用している薬によっては、鎮静薬と相互作用を起こす可能性があります。処方薬・市販薬・サプリメントなどを含め、必ず事前にすべて申告してください。

高齢の方・基礎疾患がある方は医師の判断が必要

高血圧、糖尿病、呼吸器疾患などがある方は、事前に全身状態をしっかり確認し、医師の判断のもとで行う必要があります。

静脈内鎮静法は自由診療です

静脈内鎮静法は、患者様の不安や恐怖を軽減し、快適に治療を受けていただくための方法ですが、保険適用外の自由診療となります。そのため、通常の治療費とは別に鎮静管理費が必要です。費用は処置の内容や時間によって異なりますので、事前に詳しくご案内いたします。