歯周外科・再生療法
重度の歯周病から、歯を守りたいあなたへ。
歯周病は「静かに進行する病気」
歯周病は、歯を支える骨や歯ぐき(歯周組織)が破壊されていく慢性疾患です。初期段階ではほとんど自覚症状がないため、多くの方が気づかないまま進行してしまい、気がついたときには「歯がグラグラしている」「歯ぐきが下がっている」「噛むと痛い」といった症状が現れます。
特に中等度〜重度の歯周病では、歯の周囲の骨(歯槽骨)が大きく吸収されてしまうため、通常のクリーニングやスケーリング・ルートプレーニング(SRP)では十分な治療効果が得られません。そうしたケースに対して行われるのが、「歯周外科治療」や「歯周組織再生療法」です。
歯周外科治療とは?
歯周外科治療とは、局所麻酔のもとで歯ぐきを切開し、歯根表面や深い歯周ポケット内に残る感染物質・歯石・炎症組織を、目視下で徹底的に除去する外科的処置です。
主な目的は以下の3つです:
- 通常の処置では届かない深部の感染源を確実に除去
- 歯周ポケットを浅く整え、清掃しやすい環境を作る
- 歯ぐきの形態や骨の形を機能的・審美的に整える
歯周病によって破壊された組織を完全に元に戻すことはできませんが、外科的に病巣を排除し、再発リスクの低い状態に改善することが可能です。
歯周組織再生療法とは?
歯周組織再生療法は、失われた骨や歯根膜、セメント質といった歯周組織を再生させることを目的とした高度な治療法です。
保険診療では限られた薬剤と適応範囲しか扱えませんが、当院では自費診療による高精度な再生療法にも対応しています。
主な再生療法には以下の方法があります:
1. エムドゲイン法(Emdogain®)
ブタ由来の歯胚タンパク質を含む薬剤を歯根表面に塗布し、歯周組織の自然再生を促す方法。骨の吸収が局所的で明確な場合に高い効果が期待されます。
2. GTR法(Guided Tissue Regeneration)
再生すべき組織(骨や歯根膜)と、早期に侵入してくる歯ぐきの細胞を人工膜で隔離し、骨の再生を誘導する方法です。症例によってはエムドゲインと併用することもあります。
3. 骨補填材の使用
骨の欠損部に人工骨や自家骨などの補填材を填入し、骨の回復をサポートします。補填材の選択は、部位・吸収の度合い・患者様の全身状態を踏まえて行います。
これらの治療を行うことで、グラついていた歯を長期間安定して維持できる可能性が高まります。
外科・再生療法の適応となるケース
- 中等度〜重度の歯周病で骨吸収が見られる方
- 歯がグラグラしているが抜きたくない方
- 通常の歯周治療では改善が見られない方
- インプラント治療前に骨量が足りない方(骨造成併用)
- 審美性を損なわずに歯ぐき・骨を回復させたい方
再生療法はすべての症例に適応できるわけではなく、CTや歯周組織検査などによる精密な診断が必要です。当院では、マイクロスコープや歯科用CTを活用し、治療適応の見極めを丁寧に行います。
抜歯を回避できる可能性がある
「もう歯を抜くしかない」と言われた方でも、歯周外科や再生療法によって歯を残せる可能性があるケースは少なくありません。
当院では、可能な限り天然歯を残すことを大切にしており、症例ごとに保存の可能性を多角的に検討します。
もちろん、無理に歯を残すことで周囲の歯や口腔環境に悪影響が及ぶと判断した場合は、抜歯を含めた適切な治療をご提案します。患者様の将来を見据えた判断を、正確かつ誠実に行うことが当院の基本姿勢です。
歯周病治療の「最後の手段」ではなく、「未来の選択肢」として
歯周外科や再生療法は、単に症状を改善するだけでなく、歯を長く保ち、再発を防ぎ、患者様の生活の質(QOL)を守るための前向きな治療です。
- 「もうグラグラだけど、抜きたくない」
- 「今のうちに、ちゃんと治したい」
- 「見た目も、機能も、両方大切にしたい」
そのような思いをお持ちの方に、ぜひ知っていただきたい治療です。
歯周病でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。歯を残すための最善の選択肢を、一緒に考えてまいります。