フッ素塗布とは?
フッ素塗布とは、歯の表面に高濃度フッ化物を塗布することで、歯質を強化し、むし歯菌の働きを抑制する予防処置です。
特に生えたての永久歯や乳歯はむし歯になりやすいため、フッ素によるコーティングが有効です。
自宅でのフッ素入り歯みがき剤と異なり、歯科医院でのフッ素塗布は濃度が高く、年2〜3回の処置で高い予防効果が得られます。
シーラントとは?
シーラントとは、奥歯の咬む面の溝にレジン(プラスチック樹脂)を流し込み、むし歯の原因菌や食べかすが入り込まないよう封鎖する処置です。
特に生えたての6歳臼歯や乳歯の奥歯に適応され、むし歯予防効果が高いとされています。
適応の目安
- 6歳〜12歳頃の生えたての奥歯
- 溝が深くむし歯になりやすい歯
- むし歯リスクの高い乳歯
フッ素とシーラントの予防効果 ~ エビデンス紹介
- フッ素塗布:むし歯予防率約40〜60%(Marinho VC et al., Cochrane review)
- シーラント処置:未処置群に比べてむし歯発生率が1/3以下(Ahovuo-Saloranta A et al., 2017)
引用文献:
Marinho VC et al., Cochrane Database Syst Rev. 2013.
Ahovuo-Saloranta A et al., Cochrane Database Syst Rev. 2017.
施術の流れ
フッ素塗布
- 歯面の清掃
- 乾燥処理
- 高濃度フッ素塗布(トレー法/綿球法)
- 数分放置後、水で洗い流さずそのまま終了
シーラント
- 歯面の清掃
- 溝の状態の確認と乾燥
- シーラント材を流し込み、光で硬化
- 咬み合わせ調整・完了
費用と保険適用について
- フッ素塗布:年齢やリスクに応じて、保険適用可能(小児のみ)
- シーラント:6歳臼歯などの萌出後、保険適用(中学生以下)
処置内容 | 費用(保険3割) | 備考 |
---|---|---|
フッ素塗布 | 500〜800円/回 | 条件を満たす場合のみ保険適用 |
シーラント | 1,000円前後/本 | 小児の第1・第2大臼歯に適応 |
自費フッ素(高濃度・成分指定) | 1,000〜2,000円 | 成人や希望者対象 |
よくあるご質問
Q. フッ素は何歳から塗れますか?
A. 歯が生え始めた乳児から対応可能です。1歳前後〜12歳までが特に重要な時期です。
Q. シーラントは大人にはできませんか?
A. 保険適用は中学生までですが、むし歯リスクの高い成人にも自費で実施可能です。
Q. フッ素は体に悪くないの?
A. 適切な濃度と頻度で使用すれば安全です。世界中で使用されており、WHOやADA(米国歯科医師会)も安全性を認めています。
むし歯から歯を守るために、今できることを
フッ素塗布とシーラントは、削る治療の前にできる“守るための処置”です。
とくに小児期のむし歯予防においては、将来の歯の健康を左右する重要なステップとなります。
お子さまのむし歯が心配な方、これまで予防処置を受けたことがない方は、ぜひ一度ご相談ください。