抜歯とインプラントを同日に
従来、インプラント治療は抜歯後に数ヶ月の治癒期間をおいてから行うのが一般的でした。しかし最近では、抜歯と同時にインプラントを埋め込む「抜歯即時埋入」という治療法が、適切な条件下で安全に行えるようになっています。
治療期間の短縮、審美性の維持、骨吸収の抑制など、多くの利点を兼ね備えた先進的な治療法です。本ページでは、その概要から適応条件、流れ、メリット・注意点まで、わかりやすく解説します。
抜歯即時埋入とは?
抜歯即時埋入インプラントとは、歯を抜いたその日に、同じ部位にインプラント体(人工歯根)を埋入する方法です。
通常のインプラント治療では、抜歯後に歯ぐきや骨が治癒するまで2〜3か月以上の待機期間を要しますが、即時埋入ではこれを省略できるため、通院回数や治療期間を大幅に短縮できます。
歴史とエビデンス
抜歯即時埋入は1990年代から徐々に広まり、近年ではCTやガイドサージェリーの普及により成功率が向上。研究報告でも10年生存率は約94〜96%とされています(Chen & Buser, 2009)。
従来法との違いとメリット
項目 | 従来法 | 抜歯即時埋入 |
---|---|---|
治療期間 | 抜歯 → 治癒 → 埋入 → 上部構造装着(5〜8か月) | 抜歯と同時に埋入(最短3〜4か月) |
審美性 | 歯肉がやせてしまう可能性あり | 骨・歯肉の形を保ちやすい |
患者の負担 | 複数回手術、通院回数が多い | 手術は1回、通院も少ない |
成功率 | 約95〜98% | 約94〜96%(適応症で) |
主なメリット
- 治療期間が短く、早く歯を取り戻せる
- 歯ぐきや骨の形態を保ちやすく、審美的に優れる
- 抜歯と同時のため、外科処置が1回で済む
- 仮歯をすぐに装着できることも(即時荷重)
適応となるケース
- 前歯部(上顎中切歯・側切歯・犬歯)で骨幅が十分にある
- 抜歯窩に感染がない、あるいは軽度の炎症で管理可能
- 全身状態に問題がなく、インプラント適応を満たしている
- 審美性への要求が高く、早期の補綴回復を希望される方
禁忌症(適応外)となるケース
- 急性炎症・膿瘍・歯根破折が高度で抜歯部に感染がある
- 骨幅・骨量が大きく不足している場合
- 強い喫煙習慣(1日10本以上)
- 重度の糖尿病や免疫抑制状態
- 適切なメンテナンスが困難と判断される方
治療の流れ
- カウンセリング・精密診査:CT・歯周状態・全身状態を診査
- 治療計画の立案と説明:即時埋入の可否を判断し、リスク説明を行います
- 抜歯+インプラント埋入:同日に、抜歯後の部位へチタン製インプラントを埋入
- 必要に応じて骨補填や歯肉形成:審美性を高めるために同時に処置を行います
- 仮歯の装着(即時荷重の場合):審美的仮歯を装着し、見た目を保ちます
- 治癒期間(2〜4ヶ月):骨とインプラントの結合を待機
- 最終補綴物の装着:精密印象採得のうえ、ジルコニアなどで自然な歯を製作・装着
- メンテナンス:定期的な検診・清掃指導を継続
症例紹介(ビフォーアフター)
【症例1】前歯の破折に対する抜歯即時埋入+即時仮歯
治療前:外傷による前歯の歯根破折、抜歯が必要な状態
治療後:抜歯と同時にインプラント埋入+仮歯装着。審美性を保ちつつ、3ヶ月後にジルコニアクラウンを装着。
※準備中
【症例2】歯周病で保存不可能な前歯の即時埋入
治療前:前歯の歯周病進行で動揺が著明
治療後:抜歯後、骨吸収が少ない状態で即時埋入。術後の骨保持が良好で自然なラインを維持。
※準備中
よくあるご質問(FAQ)
費用・治療期間・保証について
- 抜歯即時埋入インプラント(1本): ¥385,000〜¥495,000(税込)
- 上部構造(ジルコニア): ¥110,000〜¥165,000(税込)
- 骨補填(必要時): ¥55,000〜¥110,000(税込)
- 治療期間: 約3〜5ヶ月(仮歯装着を含む)
- 保証制度: 最長10年間(定期メンテナンス条件付き)
リスク・副作用・薬機法に基づく表記
抜歯即時埋入インプラントは、外科処置を伴う自由診療です。一時的な腫れ・痛み・出血・神経損傷・感染のリスクがあります。また、骨の量や質によっては骨補填が必要となる場合があります。使用するインプラント体・ガイドシステムは、国内または欧米にて承認されている安全性の高い製品のみを採用しております。
失った歯を、最短で自然に取り戻す選択
抜歯即時埋入は、「歯を失う瞬間の不安」から「取り戻す希望」へと導く、現代歯科医療の進歩です。
当院ではCT診断・ガイドシステム・マイクロサージェリーを駆使し、安全かつ審美性に配慮した抜歯即時埋入を行っております。
まずは、無料カウンセリングにて、お口の状態と治療の可能性を確認しましょう。