口腔外科が扱う「口の中の腫れやしこり」
口腔粘膜疾患の中でも代表的なもの
「口の中にしこりがある」「唇の内側がぷっくり膨れている」「あごの下が腫れて痛む」
これらはガマ腫や唾石症など、口腔外科で扱う疾患である可能性があります。
見た目は小さなふくらみでも、日常生活に支障をきたしたり、再発したりすることもあるため、早期発見・早期治療が重要です。
歯科・耳鼻科・口腔外科の違いとは?
口腔外科は、歯・歯ぐき・舌・頬・唇・顎など、口腔全体の外科的疾患を扱う専門領域です。
耳鼻咽喉科との連携も必要になるケースもありますが、口腔内の腫れやできものはまず歯科口腔外科での受診が基本となります。
ガマ腫(がましゅ)とは?
症状と原因:口の下のやわらかいふくらみ
ガマ腫は、舌下腺(舌の下にある唾液腺)の導管が破れ、唾液が周囲に漏れ出て溜まってしまうことで形成される嚢胞です。
- 口の中の舌の下あたりにぷっくりとした透明な腫れができる
- 大きくなると舌の動きに支障が出たり、発音しづらくなることもある
ガマ腫の診断方法
視診・触診に加えて、超音波検査やCT撮影を行い、内部の構造や拡がりを確認します。
必要に応じて、造影検査や細胞診などを大学病院と連携して行います。
治療法:摘出術やレーザー処置
小さなガマ腫であれば、レーザーやマイクロサージェリーによる切除が可能です。
大きなもの、再発を繰り返すものは舌下腺ごと摘出する手術が必要となる場合もあります。
再発率が高い疾患であるため、十分な診断と根本的な処置が重要です。
唾石症(だせきしょう)とは?
症状と原因:唾液腺内に石ができる病気
唾石症は、唾液腺やその導管内に「石(唾石)」ができ、唾液の流れが妨げられることで起こる疾患です。
- あごの下(顎下腺)や耳の下(耳下腺)に腫れや圧痛が出る
- 食事中に唾液の分泌が増えると急に痛みや腫れが起こる
唾石の検査と診断(触診・画像検査)
触診でコリコリとした石が触れることもありますが、正確な診断のためにはパノラマX線・CT・超音波検査などを組み合わせて行います。
治療法:唾石摘出と再発予防
小さな唾石は、導管を切開して摘出します。
深部にある場合は、唾液腺ごと摘出する外科的処置が必要になることもあります。
再発を防ぐためには、水分摂取・唾液腺マッサージ・口腔清掃が大切です。
その他の口腔外科疾患
粘液嚢胞(小唾液腺由来)
下唇の内側や頬粘膜などにできるぷっくりとした水風船のような腫れ。
小唾液腺の損傷で唾液が漏れ出し、周囲に溜まってしまうことで形成されます。局所麻酔での切除が可能です。
線維腫・乳頭腫などの良性腫瘍
頬・舌・歯ぐきなどにコリッとしたしこりがある場合、線維腫や乳頭腫などの良性腫瘍である可能性があります。
摘出して病理検査に出すことで確定診断が可能です。
血腫・血管腫・脂肪腫
青紫色に見える血管腫や、やわらかく動く脂肪腫なども、口腔外科で対応可能です。
出血や発育スピードなどによっては、精密検査や高次医療機関との連携が必要になります。
当院の口腔外科対応体制
大学病院レベルの診断力と設備
当院では、歯科用CT・超音波診断装置を完備し、正確かつ迅速な診断が可能です。
必要に応じて、大学病院や病理検査センターと連携し、組織診断を含む精密な検査をご案内することも可能です。
CT・超音波・病理検査への連携体制
ガマ腫や唾石などの症例は、画像診断が非常に重要です。
当院では、精密検査を院内で完結できるため、不要な紹介や二重受診を防ぐことができます。
外来小手術・レーザー手術も対応可能
局所麻酔下での小手術や、炭酸ガスレーザーを用いた低侵襲手術にも対応可能です。
痛みや腫れを最小限に抑えた治療を目指し、再発予防・審美性にも配慮した処置を行います。
よくあるご質問(FAQ)
小さな「しこり」も見逃さず、早めの相談を
口の中のしこりや腫れは、一見すると無害に見えても、再発性・感染性・機能障害を伴うことがあります。
ガマ腫や唾石症は、放置することで痛みや再発を繰り返すため、できるだけ早い段階での受診が望まれます。
当院では、専門的な診断力と低侵襲の外来手術により、患者様の負担を最小限に抑えた治療を提供しています。
「これくらいで…」と思わず、ぜひお気軽にご相談ください。